アイマスKR13話まで見た感想 『アイマスKRだからこそ描き切れた一つの結末(おわり)』

このブログ記事にはアイマスKRに関するネタバレが含まれています。


13話でテリが事務所やめてしまった。
2クール目(後半)が始まるタイミングとはいえ、まさか脱落するとは思わなかった。
ただのドラマとして考えれば普通のタイミングで物語に変化が訪れたに過ぎない。
けれど、ここまで丁寧にアイマス世界を描いてきたKR世界で825プロダクションで脱落者が出るとは思っていなかった。

 

アイマス世界でもこれまで脱落者がいない、脱落展開がなかったなんてことは言わない。
ゲームとして、バッドエンドでアイドルが売れずに引退する、事務所から去ってしまう、新作で別ユニットを組まされて新ライバルのかませとして扱われる、これまでも色々あった。

 

しかし今回はゲームとしての展開の一つではなく、次の作品で挽回できる可能性は限りなく低い、一つしかない825プロダクションの正史として起こった。
それがすごく僕には衝撃的だった。

 

もし、これを765プロダクション346プロダクションでやったとしたら、それはとても受け入れられるものではないだろう。
正史に位置付けする物語(ゲーム、アニメ)の上では引退したけど、ライブには出る可能性があるから受け入れてねー♪
なんて展開が自分の担当アイドルに来た日には、なんだァ、てめェ……という感想しかない。
派生作品の一つとしてやられたにしても、その作品は心の中で黒歴史として葬るか公式二次創作扱いにするだけだ。

 

それをアイマスKRでは受け入れてしまっている。
彼女達が元々自分の知る担当ではないアイドルだからだろうか?
僕(視聴者)は彼女達のプロデューサーではないのだろうか?

 

否。

 

確かに彼女達の物語上のプロデューサーはカンPだ、僕ではない。
ここまでアイマスKRは彼女達のアイマス世界での成長を丁寧に描いてきた。
その成長を見てきた視聴者をアイマスのプロデューサーと呼ばずして、一体どんな人間をアイマスのプロデューサーだと呼ぶのか。

 

僕はアイマスのプロデューサーとして正史としてのテリの脱落を見送った。
脱落の部分だけ、化けの皮が剥がれてただのドラマになってしまえばそれはそれで良かったかもとすら思う。
しかし、テリの脱落はどこまでもアイマス世界の正史に相応しい、ここまでの努力を無駄にしない幸せになるためと決意した脱落だった。

 

アイマスKRはアイマス世界の正史としてのアイマスアイドルの脱落を描き切った。
アイマスのプロデューサーにアイマスアイドルの脱落を突き付けた。
これはアイマスKRにしかできないことだったと思う。

 

なぜアイマスKRしかできないのか、他のアイマスアイマスKRの違いとは何か。
R.G.P.が永遠性を捨てたアイマスアイドルであることが決定的な違いなのだと思う。

 

これまでのアイマスアイドルは二次元の存在であり永遠性を持っている。
アイマスというコンテンツが永遠だと言ってるわけではない。
アイマスというコンテンツ自体とアイマスアイドルは別で、たとえバンナムが明日倒産してアイマスというIPが凍結になったとしてもアイマスアイドルは存在し続ける。
それはアイマス世界は現実ではなくフィクションの世界であり、アイマスアイドルの主体はフィクションの世界に存在するのだ。
だから、現実に主体のある僕はこれまでアイマスアイドルと同じ時間を過ごすことはできなかった。

 

(ライブはどうなのよって思うかもしれない。
ライブは声優さんやスタッフが多大な労力努力でアイマスアイドルを三次元に近づけている素晴らしいイベントだと思う。
けれど、アイマスアイドルの主体がアイマス世界に存在することは変わりなく、声優さんやスタッフと同じ時間を過ごすことができるがアイマスアイドルと同じ時間は過ごせない。
……まぁ、DVD勢なので実際参加する日が来たら手のひらを返すかもしれないが、今のスタンスとしては。)

 

あと勘違いしてはいけないのは、同じ時間を過ごせないのは劣っている点ではないということ。
同じ時間を過ごせない代わりに二次元のアイマスアイドルに終わりは存在しない。
声優さんが引退しようとそれはアイマスアイドルの主体とは関係ないし、次回作でこれまでのアイマスアイドルが引退して次の世代のアイマスアイドルが主役になろうとそれを受け入れるかは僕の問題だ。
展開を取捨選択し、思うままの存在であってくれる素晴らしい許容性と永遠性を二次元のアイマスアイドルは持っている。

 

一方のR.G.P.はアイマスアイドルでありながら現実のアイドルとしても存在している。
これを僕は、漫画作品などの舞台化で2.5次元作品などと呼ばれるのにならって、R.G.P.を2.99次元アイマスアイドルとでもいうべき存在に感じてしまう。(2.99という表現はプロレスが好きなだけ)
彼女達はアイマス世界というフィクションの薄皮を一枚羽織って現実に存在している。
アイマスアイドルでありながら僕と同じ時間が流れている。
そして、僕と同じく必ず終わりが来る。

 

アイマスKRで僕の好きなジスルは元々正規メンバーでなく、ドラマの直前にメインボーカルが脱退したためにサブメンバーから昇格したらしい。
つまり、ジスルが参加する前のR.G.P.には僕のよく知らないメンバーが一人いて去ったようだ。
同じ時間が流れるとはそういうことなのだ。
気に入らない展開があった場合、それを受け入れるかは僕の問題ではない。

 

僕はリアルタイムでアイマスKRを見ているわけではないので、これを書いてる中でもメンバーが欠けたり増えたり、あるいはグループ自体が解散休止しているかもわからない。
全員が成功することは(成功することを祈っているけれど)まずないだろう。
夢破れた姿を見届けるかもしれない、別の道を見つけて去っていくかもしれない、成功してもアイドルとして終わる日だって来る。
人はいつか死ぬ。
永遠性を捨てた同じ時間を過ごせる彼女達はそういう存在なのだ。

 

だからこそ、アイマスKRはアイマス世界でのアイマスアイドルが脱落する正史を描き切ることが出来たんじゃないか。
そんなことをアイマスKR13話を見て僕は思った。

 

……と、ここまでしつこく語っておいてあれなんですけど、別に3話ぐらいしたらテリがしれっと戻ってきても僕は歓迎するんで!
もし最終話で客席からステージに上がってくれるシーンあったら泣いちゃうんで!『これこそがアイマスだ!』とか言っちゃうんで!

 

残り11話もめちゃくちゃ楽しみ! アイマスKRはいいぞ!