アイマスKRシーズン1 24話(最終話)感想 奇跡は起こらずともベストは尽くせる、そして現実へ続く

このブログ記事にはアイマスKRに関するネタバレが含まれています。

二日前にアイマスKRシーズン1を見終わった。
最終的には6話ぐらい連続で見てしまったため、どこから感想を書くべきか悩んでしまい、一度は2週目1話からゆったりと書こうとも思った。
だが、最終話を見て感じたことを忘れないうちに記しておかなければ後悔すると思い直し、テキストエディタを立ち上げている。

 

アイマス正史の最終話といえば、それまでの全てが結実し、ファンで満員のライブ会場でアイドル達が歌って終わる。
それがお約束であり、アイマス世界が優しいフィクションの世界であるということだと思っていた。
当然アイマスKRも2話程前から、ハソが事務所に帰ってきて、カンPへの世間の誤解が解け、R.G.P.がファンで満員のライブ会場でデビューして大団円すると信じていた。

 

しかし、アイマスKRはそうならなかった。
ハソはギリギリで合流できたもののカンPへの世間の誤解は解けず、直前まで宣伝した甲斐もなく招待した知人以外の客席はガラガラ、その上大雨に見舞われて中止寸前の滑るステージ、という最悪のコンディションで彼女達はデビューした。
そして最後にどんでん返しとして、彼女達のちょっとした成功が尺を巻いて語られてアイマスKRは終わった。

 

オブラートに包むと分かりにくくなるのではっきり言ってしまうと、僕が見たかったアイマスKRの最終話ではなかった。
彼女達がファンで満員のライブ会場を歌とダンスで盛り上げる姿が見たかった。
カンPへの世間の誤解が解けてカンPコールが起こるシーンを見たかった。
何より全員の笑顔をもっと長い尺で見たかった。
それでもこれがベストの最終話だと思った。

 

最終話以外でも薄々感じていたことだが、アイマスの実写化というのは真面目にやると予算が幾らあっても足りない。
従来アイマスのデビューがスタートライン、最初はなかった人気が様々な企画を通して徐々に出始め、満員のライブ会場で最終話を迎えるというストーリーは、様々な番組セットや大勢のエキストラを必要とする。
アイマスKRはその点をデビュー前の練習生、人気を計るための目安は番組のネット配信とすることでクリアしてきた(おそらく)。
ドラマの展開する場所を事務所、レッスンルーム、観客のいないステージ、いくつかの行きつけの場所と絞ることで安っぽく感じる点はなかった。

 

そういう事情はあきらかだったので、お約束とは言ったものの最終話のクオリティにあまり期待はしていなかった。
ただ物語が終盤に向かうにつれ、徐々に活動範囲が広がっていたので、もしかしたら最後はそこそこのライブ会場で終わるかもしれないぐらいには思っていた。
要は終わり方は一つしかないのだから妥協して終わるだろうと舐めていた。

 

第4ミッションの用意していた衣装がなくなった時、まだ考える猶予があってもなくなったものを仕方ないと衣装を諦め予定通りのMVを撮影する、それが僕の言う妥協した最終話だと思う。
これまでのドラマの出来を考えれば、王道でそこそこ満足できるものにはなったはずだ。
しかも失敗する危険性は極めて低い。

 

けれど、アイマスKRはドラマの中でもドラマの外でも最後までクオリティと挑戦することを諦めなかった。
ただ王道で終わることに限界があるのなら、その上まで行ってみせようとした。

 

僕は考察などが得意な人種ではない。
アイマスを含むあらゆる分野で考察のベースになる教養が足りないし、登場人物の感情や製作の意図を読み取ることが苦手だ。
読み取って欲しいなら分かりやすく作れというタイプである。
そういう人間の感想なので、相当分かりやすく作ってあると思うし、殊更に感想として発表するのは恥ずかしい気もするが、アイマスKR最終話は『ドラマと現実のリンクを重視することで王道を越えようとした最終話』だったのだと思う。

 

アイマスKRがR.G.P.を大成功アイドルとしてデビューさせることは王道の最終話ではあるが、現実のR.G.P.との相当な剥離が生まれたはずだ。
R.G.P.が期待されていないアイドルだとは思っていないが(アイマスKRという企画とはいえドラマ1本撮ったアイドルが期待されてないはずがない)成功失敗はドラマ最終話時点でまだこれからのグループだと認識している。
あえて、デビューライブを成功させず、その後のちょっとした成功を尺を巻いて描くのは、ドラマと現実の現状をほぼ同程度に設定し『ドラマの最終話は現実に続く』としたんじゃないかと思っている。

 

(というか、尺を巻いたあの成功シーンのライブは現実のR.G.P.のライブの一場面を流用したか、ドラマ用に再現したんじゃないかと思っている。追記:この文章をジョンQPさんに確認したところ、実際のライブの一場面であると分かって納得。)

 

そう考えると最終話で王道のライブシーンは省略されたわけではなく、見たいのなら現実のR.G.P.のライブを見に行って欲しいという強いメッセージである気がしてならない。
決して最後のどんでん返しありきで作られた最終話ではなく、賛否両論を恐れずにアイマスKRであるからこそ出来るベストを意識して王道に挑戦した最終話だったのだと僕は感じた。

 

(中途半端にエキストラを入れるよりほとんど主要人物しかいれなかったあの客席は画として印象的だったし、明らかにそういう意図だと思ったんですがどうでしょう?)

 

さて、2週目をゆっくり見ようか。

 

追記:最後に巻いて終わるのは韓流では割とよくあることと教わったので、この感想は的外れなのかもしれません(笑)まぁ、あくまで個人の感想なので……。